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2020年のGoogle「We’re always thinking about travel」レポートによると、旅行を決めた95%の人がGoogle検索を利用して旅先の情報を探すことがわかっています。また旅に出る動機から旅行全体の計画を考え、移動手段や予約が必要な施設などで手続きを済ませ、旅行後に記録を友人と共有(シェア)する一連の行動がデータ分析によって裏付けられています。

この分析から旅をする人は「価格(プライス)」だけで判断するのではなく、適切な「旅行体験(トラベル エクスペリエンス)」が得られることを第一に考え、旅にかかる全体の予算を把握した上で、適切な料金の予約やお土産の購入を決定。旅行全体での体験値を満足できるレベルに「自ら調整」することがわかってきます。

旅をするときのカスタマージャーニーマップ

こうした全体的な流れは多くの方が理解しているように感じます。しかし旅に関連する観光戦略に、ウェブサイトがうまく活用できていない例を多く見かけます。上図の簡略化されたカスタマージャーニーマップを見て頂き、自社・自団体のウェブサイトは、カスタマージャーニーマップのどこに位置して、旅をする人のどのタイミングで役に立つ情報を提供できるようになっているか考えてみてください。

情報提供側がやらなければいけないこと

行動動機から計画のフェーズへ移行する時、旅を考えている人の感情は相対的に下がります。その主な原因は、検索した情報と自分のテーマとのミスマッチが生じるためです。つまりこの段階で躓くと、予約フェーズへの移行は絶望的となります。いわゆる「機会損失」というものです。

もしここを読んでいるサイト管理者の方で、Google Analytics UAを導入しているようでしたらぜひ一度「行動フロー」とサイトコンテンツの「ページ滞在時間」をレポート化して、カスタマージャーニーマップと照らし合わせてサイトの使われ方を予測してみると良いと思います。

黄色:非リアルタイム性情報/緑色:リアルタイム性情報

このようにカスタマージャーニーマップと組み合わせて、実際のサイトコンテンツを閲覧した場合、感情の浮き沈みで旅を考えている人の受け取り方は随分変わります。必要と思われる情報を取得したくとも、サイトのレイアウトが悪くて目的の情報がすぐに見つからない場合、そこへの訪問を諦めたり、予約検討から外されたりする結果へとつながるでしょう。

レイアウトのサンプル

たとえば旅を考えている人が、現地の天気予報を調べたいといった目的で上図のようなレイアウトのサイトに辿り着いたとします。スマートフォンに表示された時、右と左のどちらが友好的に捉えられるでしょうか? そもそもページに表示されている情報は、旅を考えている人にとってどこまでが有効なのでしょうか? またこのページに辿り着いた後、この人へはどのような情報を提供することで、次の行動を促すことができるのでしょうか?

フェーズと感情を予測したコンテンツの用意

行動動機となる刺激は、旅を考える人にとってそれぞれ違います。しかし刺激の部分からコンテンツを用意することで、一定のクラスターが発生することは予想できます。つまり、セグメントごとにクラスターが発生しやすいコンテンツを用意することで、ある程度の予測に基づいたページコンテンツを用意することが可能になります。

ここで必要となるのがSEOの知識です。広告キーワードと同一視されている感じもありますが、実際はそうではありません。カスタマージャーニーマップに基づいたコンテンツページを、Googleのどういった検索画面に表示させるのか、キーワードをマネジメントすることが本来の目的です。

こうして準備するコンテンツは、先のフェーズと感情に合わせて表示される情報をコントロールする必要があります。それらを実現するものがCMS(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれるサーバアプリケーションです。近年よく使われるCMSはWordPress。バージョン5.8からはフルサイトブロックエディターが搭載されて、フェーズごとのウェブページが作りやすくなりました。また再利用ブロックを利用することで、複数のページで使用する共通の内容を一元管理できるようになりましたので、フェーズに合わせたレイアウトのページが作りやすくなったことも特徴です。

こうしたページの使い勝手など、継続して指数データを取得し、改善を積み重ねることをUXデザインワークといいます。まだ取り入れていないようでしたら、UXデザインによるデジタルマーケティングをはじめましょう。

モバイルフレンドリーであること。フェーズタイムリーであること

ウェブサイトへのアクセスは実に80〜90%がスマートフォンからによるものです。ところがウェブサイトを制作する時、クライアント側の確認はPCを用いることが多く、また光回線など大容量高速回線に繋がれた状態で確認をしている例が多いようです。

前述の通りウェブサイトへのアクセスの殆どがスマートフォンであることから、1ページに表示されるコンテンツのボリューム、質を考える必要があります。それらにあわせて、SEOとカスタマージャーニーマップに沿ったフェーズコンテンツをマネジメントする必要があります。

こうした事が総合的にGoogleでの検索表示順位に影響を与え、ターゲットにしていたセグメントへと情報が伝達されるようになります。

またSNSによるシェアも想定に入れなければなりません。それに合わせたOGタグの設定や、コンテンツのマネジメントも重要になります。

「インドア満喫女子」の写真[モデル:井隼そら]

刺激の誘発、蓄積記憶とデジタルアドテクノロジー

旅に出る行動動機を誘発させるためには刺激が必要です。刺激が誘発されるためには蓄積された記憶が必要です。かつては繰り返し流されるテレビCM、町中のポスターやパンフレット、交通広告などが蓄積させる記憶媒体として利用されてきました。

時代はテレビからネット配信へと移り変わり、テレビCMからウェブ広告、PCからスマホ、ポスターからデジタルサイネージへと媒体が移り変わりました。

こうした媒体に流すコンテンツ表現やイベントとの連動などを通して蓄積記憶と刺激を誘発するプランニングが必要です。どこに、いつ、どのターゲットに、どのような情報をどのタイミングで流すのか。こうした細かな情報コントロールもアドテクノロジーによって可能になりました。

効率的な広告費の使い方をするためには、デジタルマーケティングが必要です。このことは旅行・観光業界にとってこれから重要なノウハウとなり、特に地方へ出向いてもらうためにもデジタルマーケティングは欠かせないツールとなっていきます。