観光UXデザインと資源への再投資について

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観光ユーザーニーズの多様化

マスツーリズム下において観光とは「見たことがないものを見に行く行為」でした。見たことがないものの情報は観光誌やテレビの旅番組、旅行プランが書かれているパンフレット、駅のポスターなどから今までは得られていました。

2010年頃からスマートフォンが普及し始め、SNSが一般化したことで観光ニーズに対しても大きな変化が生じ、投稿された写真に対して「シェア」や「👍いいね!」を集めるために撮影にでかけ、他社と自分とに「差異を創出する行為」へと変化しました。このため観光ニーズには多様性が求められるようになり、従来までの価値提供では観光ニーズを満たせなくなってきました。

観光名所は背景として使われる

観光資源への再投資

観光ユーザーのニーズが多様化する中、観光資源の傷み具合は現在どのくらいでしょうか? 物理的な傷み具合は目視で確認できますが、情報としての傷み具合はなかなか判断できません。

情報は単体では価値を持ちません。情報を分解すると、専門的な見解に加え、季節的な見え方、文化・行事との関連、アニメやゲームでの舞台といったパーツがいくつものパターンで組み合わさったものが情報として存在し意味を持ちます。そこに地域資源が組み合わさることで、はじめて「価値」が図れるようになります。前者は目視で確認できますが、後者はITを活用するなどして分析しなければなりません。

キーワードマップによる関連性の目視化

こうした分析を使いながら、地域遺産の歴史をもう一度資料検索をしなおすと、今まで埋もれていた新しい結びつきによる価値が発掘されることがあります。それらの情報を組み立て直して意味づけし、観光資源と掛け合わせることによって新たに価値をつけ直すことで、まるで新製品を発表するかのような効果を期待することができます。これが観光資源への再投資という作業です。

観光UXデザイン―お土産―

情報と意味付けを行い価値化(ブランディング)された観光資源を元に様々なケースで初期設定を制作し、その設定を元にしてパッケージデザインを起こします。これは観光UXの一つで、「お土産」に対する体験価値を想像します。たとえば上田市のケースを例にあげてみます。

江戸中期の1672年難波戦記、上田軍記の出版および講談が始まると華々しく真田幸村が誕生。六文銭や真田赤揃えはこの頃に完成し、その後江戸末期から明治・大正にて、真田十勇士が誕生します。明治で信濃に忍者が居たという説がこの頃完成しました。江戸末期から明治に関しては佐久間象山など国学者を多数排出していることも影響している可能性があります。
史料では大坂冬の陣で真田軍は赤揃えでは描かれておらず、六文銭ではなく丸印、戦旗に家紋を染め抜くというようなことはされていないことが確認できます。しかし関ヶ原の合戦で徳川軍本陣まで近づくことができ、上田城でも徳川軍を手こずらせた一族であることがとりあげられ、創作の対象として武勇を演出でき、感動を与えることができると考えられたことで脚光を浴び、その名作は現代でも語り継がれるほどに愛されています。

国文学研究資料館・信濃国松代真田家文書など参照
調査・資料作成:青山信子

こうして江戸中期から愛されてきた六文銭。このモチーフを上田産の林檎と高原、塩田平、千曲川のイメージを重ね合わせたパッケージベースに落とし込み、展開サンプルを提案しました。六文銭のイメージは真田家家紋としての印象が強く、なかなか大胆にアレンジできなかった印象があるのですが、史料をベースに調査したを結果、物語設定の一部であることがはっきりしたので、意匠として採用を提案します。

観光UXデザイン―SNS映えする風景―

見慣れていると素通りしてしまうような場所も、視点を変えるだけで違って見ることができます。他社との差を見つけることが価値とする現代の観光ニーズにおいて、観光資源は名所だけとは限りません。残念ながら再開発で取り壊されてしまったり、経年寿命で見えなくなるものもありますが、およそ観光資源とは結びつかなそうな風景にも、細かな情報提供と作例提供による意味付けを行うことで新たな価値を地域に生み出します。

観光UXデザイン―統一感―

参考:六文銭をモチーフにした意匠(デザイン:伊藤あすか)

たとえばラッピングに。包装紙やお土産パッケージに…。ベースデザインがひとつあると、統一されたイメージを作ることが可能です。

地元愛こそが最高の観光UXを提供します

地元向け資料をわかりやすく制作することで、地域の歴史プロットにはじまり、地域のお土産・食文化・装飾文化などまで踏み込みつつ、扱っている地域の店舗なども同時に紹介する資料本を作り込むことで、観光ユーザーに何かを尋ねられた時、お土産を案内できたり、別の場所も同時に案内できたりすると、その観光ユーザーにとって最高の体験を得られることが調査結果からも現れていることは有名です。

上田地域の通史インフォグラフィックス原稿(調査・制作/青山信子)
観光と持続可能な開発目標
〈文化の価値・多様性・遺産の保護〉
観光と文化は大きな関連があり、観光の発展は文化的価値の創造や文化遺産の保全に良い影響をもたらします。例えば、観光客が多様な文化を持つ人々と意義ある出会いをすることや、文化的に重要な建物の修復や伝統文化の復活に寄与することにつながります。また、観光は文化が社会経済的に発展することに重要な役割を果たします。しかし、文化遺産の毀損や文化的な習慣への解釈の誤解を防ぐために、適切に文化観光を推進していかなくてはなりません。
合同会社イツノクラは、この観光庁の趣旨に賛同し、SDGsゴール・ターゲット№8・11・12 の分野において史料調査・企画・デザインで、地域文化遺産の保護と観光資源開発サポートをします。
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